10年近くフリーランスのデザイナーをしていますが、初めてお金を払ってくれないクライアントに遭遇してしまいました。
タイトルは未払いとなっていますが、正確には「不払い」ですね。
フリーランスなら誰もが一度は経験するであろう未払い問題。約半年かかってやっとで回収できましたので、事の顛末を書いてみたいと思います。
未払いクライアントとの戦いの記録
今回のケースがどのような内容だったのか、報酬を回収するまでのざっくりとした経緯を紹介していきます。
序章:デザイン料+商品代を支払ってもらえなかった
2018年7月、とあるショップのオーナーさんから依頼があり販促グッズを制作しました。デザイン料と商品代を合わせて請求金額は約15万円。
7月中に制作完了し、請求書を発行すると「8月末の支払いでもよろしいでしょうか?」と連絡があったので先に納品して支払いを待っていたんですが、8月末になっても入金がありません。
ほんとは入金されてから納品するのが一番安心なんですが、会社相手だと大体は月末締めの翌月末とか、長いところだと翌々月の末払いとかもあるので仕方ないですね。
STEP1:催促メールを送る
まずは催促のメールを送ります。ほとんどの場合は一度メールを送れば「あ〜!すいませんでした〜!Σ(゚д゚;)」とか言ってすぐに対応してくれます。
しかし返信がありません。
9月中何度かメールを送ってみましたが、1度も返信がありませんでした。この辺から「あれっ、おかしいぞ」と少し不安になっていきます。
STEP2:電話で催促する
メールの返信がないので、もらった名刺に記載してあった携帯電話にかけてみても全く出る気配なし。時間帯をずらしたりして何度かかけましたが出ません。だんだんイライラしてきます。
ショップにかけてみたところ、たまたまタイミングバッチリでオーナーがいたらしく、スタッフさんが代わってくれました。ついに直接話すチャンスが訪れます。
お世話になっております。お支払いの件でご連絡差し上げたのですが・・・
あ〜、はい
お早めのお支払いをお願いしたいのですが、いつ頃お振り込みいただけますでしょうか?
あ〜、はいはい、請求書送りました?
メールでお送りしてますが、念のため再送しますのでご確認お願いします。
あ〜、はい
大丈夫かな〜。念のためメールと、紙の請求書も郵送しとくか。はぁ〜めんどくさ。
とりあえず払う意思は見せていたのでひと安心。もうちょい待ってみることにしました。しかし10月末になっても支払いがありません。
STEP3:SNS経由で連絡を試みる
11月に入り、さすがに異常事態なのでこちらも少し強引な方法をとることにします。そう、SNS経由でプレッシャーをかけよう作戦です。
ショップのインスタとか、個人のFacebookは更新していたのでコメント欄にメッセージを入れてみることにしました。しかし不特定多数が見る場所なので、名誉毀損とか言われないように慎重に。
「〇〇さん、ご連絡ください」
これだけです。少しずつ期間を空けながら、インスタ、Facebookにコメントを投下し、ダイレクトメッセージも送ってみましたが完全無視。
そんなこんなで師走の忙しさもあり、ついに年が明けて2019年になってしまいました。
STEP4:e内容証明を送りつける
さすがにここまで無視されると「法的措置」を考え出します。金額は15万ほどなので支払い催促か、少額訴訟になるわけですが、まずは最後の通告として内容証明を送ることにしました。
理由としては、仮に相手が異議申し立てをして通常訴訟に移行した場合でも、確実に勝てる材料を作っておきたかったからです。わざわざ裁判所に行ったりするのも面倒だし、できればこれで終わらせたいという願いもあります。
内容証明は自分で作成する人が多いと思いますが、e内容証明というネット上で完結できるサービスがあるのを知り、試しに利用してみたんですがこれが便利!
e内容証明についてはこちらの記事で詳しく書きました↓
結果から言うと内容証明郵便も「不在扱い」で戻ってきてしまいました。
STEP5:ダメもとでLINEを送る
内容証明が戻ってきてしまったんですが、実は内容証明を送った時にLINEも送ってたんです。内容は以下のような感じ↓
御社の所在地に内容証明郵便を送付いたしました。最終通告となります。書面に記載の期限までにお支払いいただけない場合は法的手段によって代金及び遅延損害金、法的手続きの諸費用を請求しますのでご承知おきください。
◯◯◯(自分の名前)
このLINEに既読を付けてくれたのがラッキーでした。ちょっと詳しい人なら既読を付けずに内容を確認することもできますからね。
そこで最後の希望を込めて、LINEでプレッシャーをかけてみることにしたんです。送った内容はこちら↓
念のためショップのスタッフの方に事情を説明の上、差し戻された書面を渡しておきますのでご確認ください。
後日裁判所からの通達がいきますが、それも無視された場合は財産開示手続き及び強制執行により差し押さえを行いますのでよろしくお願いいたします。
上記メッセージには2つのポイントがあるんですが、まずは「ショップのスタッフに事情を説明する」という部分。
これまで1対1のやりとりをしてきて、未払いの件は他の人には伏せていましたが、「アンタがひどいことしてるのをバラしちゃうよ」っていう脅しですね。
もう1つは「財産開示手続き及び強制執行」をちらつかせることで、無視しても逃げられませんよっていう警告をしています。
例えば少額訴訟で債権が認められて強制執行ができるようになっても、相手の口座にお金がなかったら差し押さえることができません。そのため悪い人は強制執行の前にわざと口座からお金を引き出しておいたりするそうです。
その対策として財産開示手続きをして、その人がどのくらい資産があるか提示させることができます。財産開示手続きを無視すると「最大30万円の過料」という制裁が与えられます。
しかし極悪人はそれでも無視し続けるわけですが、株式会社として公にショップを運営している人間がそこまでして逃げることはないだろうという希望的観測です。
解決:LINEの返事がきた
最後の希望を込めたLINEのおかげか、1月後半ついに相手から返事がきました。実際のメッセージがこちら↓
いや9月から病気なら8月に払えたやん!
っていうか沖縄での元気な写真インスタにアップしてたやん!
とかツッコミどころ満載なんですが、とりあえず連絡きたので月末まで待つことにしました。が、
1月31日、振り込まれる気配がありません。
ムキー!ってなりながら再度メッセージを送ります。
最後の最後までいい加減な対応で超イライラさせられましたが、このあと振り込んでくれて、2月4日に入金を確認することができました。
大変だったけど裁判所まで行かなくて済んで良かった。
フリーランスは自分で自分を守らないといけない
フリーランスは個人なのでナメられやすいっていう部分はありますよね。なるべく変なクライアントには関わらないように、事前に防衛するのが重要だと思います。
一番良いのは問い合わせが来た時点で何かおかしいな、めんどくさそうだなと思ったら仕事を受けないこと。そういう勘って大体当たるので、不払いまでいかなくても修正がやたら多かったり理不尽な要求をしてきたりするんですよね。
あと金額が大きな仕事や、定期的に受ける仕事などは契約書を締結しておいたほうが良いです。不払いについては契約書もあまり意味がないと思いますが、トラブル時に「言った言わない」などで揉めたりする場合などには有効です。
契約書とまではいかなくても、やり取りはなるべくメールでやるのをオススメします。電話だと記録が残りませんが、メールは何かあった時に証拠として使えますので。
しかしどんなに気を付けていても、どうしても回収不可能で泣き寝入りするしかない場合も多いようです。もうこればっかりはそういうクライアントに出会わないことを祈るしかないですね。
未払い(不払い)クライアントに遭遇してしまったら
今回僕の場合はなんとか支払ってもらうことができましたが、もしアナタが不運にも同じような状況になってしまった場合、あきらめずにあらゆる手段を使ってプレッシャーをかけ続けてください。
こちらに非がない場合は遠慮することはないです。ガンガンいきましょう。クライアントを知っている人など、第三者に協力をお願いするのも1つの方法ですね。
世の中変な人は多いのでフリーランスの皆さんは気を付けてください。もし未払いと戦っている最中の方がおられましたら、無事に回収できることをお祈りします。頑張れ〜!
comment
参考になりました。
ありがとうございます!
お役に立てて何よりです。
当方の場合、少額なので
泣き寝入りした方が手間も時間もかからず
ストレスもないとは思ったのですが・・・
2回連続で予定よりも少額しか振り込まれず、
1回めはまだ仕事を受けている最中でしたので
翌日残金が振り込まれました。
もともとそのクライアントに問題があったので、
その後の仕事を辞退し、
2回目の振り込み日を迎えたところ
また、少ない金額しか振り込まれていません。
今 事務の方に対応を仰いでいるところで
ひとまず連絡待ち(振り込み待ち)の状態です。
少額ではあるけれど
ごまかしても相手はフリーランスだから
と思われているのが悔しくて
最悪は、内容証明の段階までは行くつもりです。
でも、泣き寝入りした方が楽だなと
思ったりもします。
今後はクライアント選びに十分に気をつけたいと
思います。
とても参考になりました。
ありがとうございます!
コメントありがとうございます!
そういうケースもありますね〜。
金額にもよりますが、一応払ってもらえているのが救いですね。さっさと見切りをつけて正解だと思います。
自分の経験値を上げるつもりで内容証明を送ってみるのも良いかもしれませんね。
こんにちは、数ヶ月前に初めて同じような目にあい、悶々としていたところこちらにたどり着きました。そして、こちらの文章に同意し過ぎました…。自分の勘を信じるべきだった!
>>>何かおかしいな、めんどくさそうだなと思ったら仕事を受けないこと。そういう勘って大体当たるので
こちらが何度も催促しないと払わないクライアントで、結果的には払うんですが
彼のために余計な時間を使うことにもイライラし、、
(しかも外ズラのいい人で、口が上手いんです。ずる賢いのか天然なのか?天然はありえないと思いますが。。)
余計なストレスを与えられるので、そのクライアントを完全に切ろうかどうか迷っていましたが、事を振り返っているうちにふんぎりがつきました!
切ったろ!!!
経験をシェアしてくださり、ありがとうございます。
誠意を感じられない人とは、仕事したくないですよね!!
コメントありがとうございます!
そのクライアントは某芸人さんみたいに極度の先延ばし癖があるのかもしれませんね。笑
毎回ストレスを溜めながら仕事するよりは切って正解だと思います。
また良いクライアントに出会えると良いですね!
私もフリーランス15年にして不払いの経験を現在しており(過去1度ありましたが、以前は電話だけですぐ支払われたので大きなストレスにはなりませんでした)、こちらのサイトにたどり着きました。私は少額なのですが、しかし泣き寝入りしたくなく、ようやく先月末に支払う意向を先方が電話で言ってくれたのですが、今月になっても支払われず、まずはメールをしました。明日には電話にて捕まればと思っています。しかしそれでも舐めた態度をされたら内容証明を送ればよいのだとこちらのサイトを読んで参考になりました。長期にわたり本当にお疲れ様でした。私も今後は聞いたことのない会社や個人のクライアントには用心します。
コメントありがとうございます!
誠意のない対応をされると本当にイライラしますよね。
内容証明も少しお金や時間がかかるので、少額であれば労力をかけるよりはこちらから切ってしまうのもアリだと思います。
でも無事に回収できることを願っております!